お知らせ

COLUMN
コラム

そばの豆知識

そばの種類を分類別に紹介!手打ちそばからにしんそばまで

この記事の監修者

監修者画像

有喜屋 三代目店主

三嶋吉晴

有喜屋(うきや)三代目店主。有喜屋は1929年 京都先斗町に創業した本格手打ちそばと蕎麦料理を提供するそば屋です。 最年少で京都府優秀技能者表彰「京都府の現代の名工」を受彰。 手打そば職人としては全国で初となる「卓越技能章」を厚生労働大臣より受彰。 天皇陛下から授与される褒章である、「黄綬褒章」を拝受。

詳しくはこちら

「そばの種類ってどのくらいあるんだろう?」
「そばって種類がたくさんあるけれど、どう違うの?」

そばの種類は以下のように多く存在しますが、ブランドや作り方、品種などによって呼び名が変わります。この記事ではブランド別、そば粉の割合別、品種別、作り方別、組み合わせ別に分けてそばを紹介します。

  • 更科そば
  • 砂場そば
  • 藪そば
  • 田舎そば
  • 十割そば
  • 二八そば
  • 韃靼そば
  • ぼたんそば
  • 手打ちそば
  • 寒ざらしそば
  • にしんそば
  • へぎそば

1. そばの種類:ブランドでの分類

そばには多くのブランドがありますが、ここでは以下の有名なブランドを紹介します。

  • 更科そば
  • 砂場そば
  • 藪そば
  • 田舎そば

主にそばのブランドは、どのそば粉を使用するかによって決まります。そば粉の種類は以下の通りです。

種類 特徴
一番粉 そばの実の中心部分を石臼で引いたもので、最も純度が高く、更科粉とも呼ばれます。この粉は弾力があり、食べた時の歯切れや喉越しが良い特徴があります。
二番粉 そばの実の胚乳部や胚芽部から作られ、そば独特の色味と香りがあります。味と食感のバランスが良いのが特徴です。
三番粉 そばの実の外殻に近い部分や甘皮部分から作られ、他の粉と比べて、そばらしい色味や香りがします。「藪系の蕎麦」や「田舎そば」として使われることが多いです。

(1)更科そば

更科そばは、数あるそばの種類の中で最も有名なブランドの1つです。更科そばの発祥は信州で、信州出身の堀井清右衛門がそば打ちが得意であったことから、領主の勧めにより江戸に「信州更科蕎麦所 布屋太兵衛」を開業したことが始まりとされています。

また、そばの実の中心部分から取れる一番粉を使って作られ、たんぱく質が少なく、でんぷんが多いため、ほんのりとした甘さが特徴です。

(2)砂場そば

砂場そばの発祥は大阪で、大坂城の資材置き場の近くにあった蕎麦屋がその名の由来です。江戸時代に江戸へと広まり、「室町砂場」などの有名店で現在も楽しまれています。甘くて濃いそばつゆにそばをつけて食べるのが特徴です。あとで解説しますが、そば粉8割・小麦粉2割で作られる「二八そば」の一種で、なめらかな食感を楽しむことができます。

(3)藪そば

藪そばは、濃いめのつゆと合わせて食べるのが一般的で、特有の塩味が際立ちます。藪そばの名称は、かつて東京都豊島区にあった竹藪の近くの蕎麦屋から来ていると言われています。

また、藪そばは緑がかった色と濃厚な風味が特徴のそばです。そばの実の中心部分から外れる二番粉や三番粉を使用しており、そばの風味がしっかりと感じられます。

(4)田舎そば|更科そばの対極と言われているそば

田舎そばは、黒っぽく、太めで歯ごたえのある麺が特徴です。白いツルツルとした食感の更科そばとは対極にあるそばとも言われています。そば殻が混じっているため、香りが強く、素朴でどっしりとした味わいが楽しめます。汁を少なめにつけて、そば本来の風味を味わうのが一般的です。

2. そばの種類:そば粉の割合での分類

そばには、そば粉のみで作られるものとそば粉と小麦粉などのつなぎを混ぜ合わせて作るものがあり、そば粉の割合によって名前が変わります。ここでは以下の2つを紹介します。

  • 十割そば
  • 二八そば

順に解説します。

(1)十割そば

十割そばとは、小麦粉などのつなぎを一切使わずにそば粉だけで作られるそばです。つなぎを使わないため、麺は切れやすく、作るのに高度な技術が必要とされます。その分、そば本来の香りと味わいを最も強く感じることができ、そばの真髄を楽しむことができます。

十割そばの食感はしっかりとしており、噛むたびにそばの風味が口の中に広がります。香り豊かな十割そばは、そば好きにはたまらない一品です。

(2)二八そば

二八そばは、そば粉8割に対して小麦粉2割の割合で作られるそばです。小麦粉を混ぜることで、そばがつながりやすくなり、麺のしなやかさと弾力が増します。

二八そばは、十割そばに比べて作りやすい上に切れにくく、多くのそば屋で提供されています。そのため、最も一般的に食べられているそばの一つといえます。食感はなめらかで、つるつるとした喉越しが特徴です。

3. そばの種類:品種での分類

そばは品種によって、風味や味が異なります。ここでは以下の2つの種類を紹介します。

  • 韃靼そば
  • ぼたんそば

(1)韃靼そば

韃靼そばは、普通のそばに比べてルチンの含有量が非常に高いのが特徴です。ルチンはポリフェノールの一種で、血圧を下げるなどの健康効果があります。

韃靼そばは黄色がかった色をしており、独特の苦味があります。そのため、中国では「苦そば」とも呼ばれています。日本では北海道で栽培されており、栄養価の高いそばとして健康志向の方々に注目されています。

(2)ぼたんそば

ぼたんそばは、北海道で栽培される希少なそばの品種です。背が高く倒れやすいため栽培が難しく、収穫量が少ないことから「幻のそば」とも呼ばれます。

ぼたんそばは香りが高く、甘みが強いのが特徴で、北海道の浦臼町や新得町で主に生産されており、地元ではその希少性と独特の風味から高い評価を受けています。

4. そばの種類:作り方での分類

そばの作り方も、製麺機を使った方法だけではなく、様々な手法があります。ここでは以下の2つの作り方で作るそばを紹介します。

  • 手打ちそば
  • 寒ざらしそば

順に解説します。

(1)手打ちそば

手打ちそばとは、製麺機などの機械を使わずに、木鉢、麺棒、包丁などの道具を使って人の手によって作られたそばのことを指します。機械で作られるそばに比べ、手打ちそばは職人の技術と経験が反映され、風味や食感に独特の味わいがあります。

手打ちそばは江戸時代にも存在し、その頃から他のそばとの差別化を図るために「手打ち」と銘打たれていました。現在でも、多くのそば屋が手打ちそばを提供し、その技術と伝統を受け継いでいます。

(2)寒ざらしそば

寒ざらしそばは、厳冬期に風味が増すようにそばを寒ざらし(冷やして乾燥させる)にかけて作られるそばで、そばの風味やコシを引き立たせることができます。

寒ざらしそばは、冷たいつゆや薬味と一緒に食べるのが一般的で、夏場でも人気のあるそば料理です。冷たいつゆに浸して食べると、爽やかな風味と喉越しの良さが楽しめます。

5. そばの種類:組み合わせでの分類

そばは本来の風味を楽しむために、そばだけでいただくこともありますが、天ぷらなどをのせて食べるのもおいしく食べることができます。そばと何を組み合わせるかは地域によっても異なり、種類は様々です。ここでは以下の2つのそばを紹介します。

  • にしんそば
  • へぎそば

順に解説します。

(1)にしんそば

にしんそばは、かけそばの上ににしんの干物「みがきにしん」をのせて食べる蕎麦です。江戸時代に、北海道から京都へと流通したみがきにしんが使われ始めたのがルーツです。

有喜屋でもにしんそばを提供しており、にしんの風味とそばの組み合わせには独特の美味しさがあり、甘辛く煮たにしんがそばの味を引き立てる人気の一品です。

(2)へぎそば

へぎそばは、新潟県の郷土料理で、つなぎに布海苔(ふのり)を使ったそばです。布海苔が入ることで、麺に独特のコシと歯ごたえが生まれます。

へぎ(片木)と呼ばれる木製の器に一口サイズに丸めて盛り付けるのが特徴で、見た目も統一されて美しいそばです。冷たいつゆにつけて食べるのが一般的です。

そばの種類を知って楽しみながらそばを食べよう

この記事ではそばの種類を分類別に紹介しました。皆さんが知らなかったそばの種類もあったと思います。有喜屋では、修行を重ねたそば職人が手打ちそばを作っており、十割そばや二八そばなどを提供しています。にしんそばも提供しており、にしんの風味とそばの組み合わせが人気のメニューとなっています。

さらに、ご家庭でも有喜屋のそばを召し上がっていただけるように、オンラインショップで乾麺そばも販売しています。手打ちそばのようなコシと香りを持ち、つるつるとしたのどごしが楽しめる有喜屋の乾麺そばを、この機会にぜひご賞味ください。多彩なそばの種類を知りながら、おいしいそばを楽しんでみてはいかがでしょうか。