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そばの作り方

生そばと生蕎麦の違いとは?読み方や茹で時間について解説!

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有喜屋 三代目店主

三嶋吉晴

有喜屋(うきや)三代目店主。有喜屋は1929年 京都先斗町に創業した本格手打ちそばと蕎麦料理を提供するそば屋です。 最年少で京都府優秀技能者表彰「京都府の現代の名工」を受彰。 手打そば職人としては全国で初となる「卓越技能章」を厚生労働大臣より受彰。 天皇陛下から授与される褒章である、「黄綬褒章」を拝受。

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「生そばってどう読むの?」
「生そばと生蕎麦って同じものじゃないの?」

「生そば」と「生蕎麦」という言葉は一見同じように見えますが、実はそれぞれ異なる意味を持っています。

この記事では、それぞれの読み方や意味、茹で時間の違いについて詳しく解説します。さらに、生そばを美味しく食べる方法もご紹介しますので、ぜひご覧いただき、そばを楽しみながら食べましょう。

1. 生そばと生蕎麦の違いとは|それぞれの読み方は?

生そば 生蕎麦
意味 ゆでる前の生めんや、乾麺と比較して水分を多く含むそば つなぎとして小麦粉や他の穀物を一切加えずに、純粋なそば粉だけで打ち立てられたそば
読み方 なまそば きそば

生そばと生蕎麦は一見同じように見えて、それぞれ意味の異なるそばです。歴史的には生蕎麦が先に存在しており、その後に生そばが誕生しています。そのため、まずは生蕎麦の説明をします。

生蕎麦とは、そば粉100%で作られたそばのことを指します。つなぎとして小麦粉や他の穀物を一切加えずに、純粋なそば粉だけで打ち立てられたそばです。

一般的には「十割そば」と呼ばれるそばであり、今ではそば粉8割、小麦粉2割の二八そばのことを「生蕎麦」と呼ぶ場合もあります。

生そばとは、ゆでる前の生めんや、乾麺と比較して水分を多く含むそばを指します。

生そばは、そば特有の風味や香りが豊かであるため、ざるそばなど、そば本来の味わいを楽しむのに最適な麺と言えます。

生そばは風味豊かであり、短時間でゆでられる利点がありますが、その分、のびやすい特性を持っているため、適切な茹で加減を心がける必要があります。また、乾麺と異なり、カビや雑菌が繁殖しやすいため、日持ちがしません。

ちなみに、生そばは「なまそば」と読み、生蕎麦は「きそば」と読みます。

(1)生蕎麦の歴史

生蕎麦の歴史は古く、日本の食文化の一翼を担ってきました。元々、そばは縄文時代から存在したとされており、そば粉だけで打った「生粉打ち(きこうち)」として食されていました。江戸時代以前は、すべてのそばが生蕎麦であり、小麦粉を使うことはありませんでした。

江戸時代中期以降、そばの需要が高まるとともに、質の低いそばが出回るようになりました。そのため、高級店ではそばの品質を強調するため、「生蕎麦」という表現が用いられるようになりました。これは、そば粉だけで作られた高品質なそばを意味し、それ以外のそばと差別化されました。

時代が下るにつれて、二八そばなど他の種類の蕎麦でも「生蕎麦」の看板を掲げる店が増え、先述した通り、その意味合いが広がっていきました。現代でも、「生蕎麦」という言葉は高品質なそばを示すシンボルとして使用されています。

2. 生そばの賞味期限は?

生そばは香りが高く、そば本来の味を楽しむことができますが、カビや雑菌が繁殖しやすいです。ここでは、生そばの賞味期限について以下の3つの保存方法ごとに紹介します。

  • 冷蔵庫での保存
  • 冷凍庫での保存
  • 常温での保存

順に解説します。

(1)冷蔵庫での保存

生そばは、冷蔵庫で保存した場合、製造日から約2〜3日程度が賞味期限とされます。冷蔵庫内で麺が乾燥しないように保管し、密閉容器やラップで包んで保存します。賞味期限を過ぎた場合は、品質が劣化しやすくなるので早めに食べることをお勧めします。

(2)冷凍庫での保存

生そばを冷凍庫で保存する場合、製造日から3か月〜半年程度が一般的な賞味期限です。適切な密閉容器やジップロックなどに入れて冷凍し、凍結した状態で保管します。解凍する際には、冷蔵庫でゆっくり解凍することで品質を保つことができます。

(3)常温での保存

生そばは水分を含んでいるため、常温での保存は避けましょう。常温で保存するとカビや雑菌が繁殖しやすくなり、品質が劣化します。常温では、賞味期限は数時間から1日程度と言われていますが、できるだけ冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。また、贈り物として贈る際にも注意が必要です。

3. 京都のそば職人直伝!生そばを美味しく食べる方法

ここでは京都のそば職人が直伝する、生そばを美味しく食べる方法について以下の順序で解説します。

  • 茹で方
  • 洗い・水切り
  • 盛り付け・食べ方

詳しい内容は以下の動画で解説していますので、こちらもぜひご覧ください。

また、そばを美味しく食べるために必要なものは以下の通りです。

  • 生そば(1人前)
  • 大きな鍋
  • 菜箸
  • ざる
  • 冷水を張ったボウル
  • 氷水
  • 盆ざる
  • せいろ

(1)茹で方(茹で時間)

まずは茹で方です。沸騰したお湯に一人前のそばをほぐしながら入れ、すかさず菜箸で8の字に軽く回し、蓋を閉めます。

生そばの茹で時間は30〜40秒ほどです。その短い時間の間に生そばを茹でなければならないため、蓋をしてすぐにお湯を沸騰状態に戻すことが重要になります。そうすることで、そばの芯まで、火が均一かつはやく通り、そばが美味しく茹で上がります。

蓋をしてから15秒ほどして蓋を取ると沸騰状態が戻るため、実際に茹で上がり加減を指先で確認します。

(2)洗い・水切り

​​そばを鍋に入れてから30秒経ったら、ざるでそばをすくい、洗いの作業に移ります。

大量の水を張ったボウルにそばを入れ、そばがもつれないようにほぐしながら流水で洗います。その後、洗った水を一旦捨て、最後に氷水で締めます。

そばを氷水で締めたら、盆ざるに乗せて水切りをしていきます。盆ざるの縁にそばを乗せることで早く水を切ることができます。

(3)盛り付け・食べ方

続いてせいろに盛り付けていきます。盛り付ける際は、一度に盛り付けるのではなく、ほぐしながら少しずつ盛り分けます。一本一本バラバラになるように盛り付けるのがポイントです。そうすることで、そば同士の間が空き、水切りが早くなる上に、香りが立ちます。

盛り付けが完了したら、香りが立っている間である1分以内に召し上がりましょう。そばつゆはそばちょこに一度に入れるのではなく、少しづつ足しながら食べることで、そば湯も辛くなくなり、美味しく飲むことができます。

実際に食べていきましょう。まずはつゆにつけずに、香りや味、食感を楽しむためそばだけを食べます。続いて、つゆの辛さや濃さなどを確かめるためにつゆを少し飲みます。つゆのあたりを確認できたら、一口分のそばを箸でとり、つゆに少しだけ付けてすすります。そばはすすることによって、そばやつゆの香りを感じることができます。

そのあとは、ねぎやわさびなどの薬味をお好みで付けて食べます。ねぎはつゆに入れても良いですが、わさびをつゆの中に入れると、つゆ全てがわさびの味になってしまうため、わさびはつゆに入れないようにしましょう。わさびも楽しみたい場合は、そばの上にわさびを乗せて食べます。

有喜屋の生そばをご賞味ください

この記事では、生そばと生蕎麦の違いや読み方を中心に、生蕎麦の歴史や生そばの賞味期限、生そばを美味しく食べる方法を解説しました。

有喜屋では、十割そばである生蕎麦を打ちたての生そばとして提供しています。また、オンラインショップでは、乾麺のそばも販売していますので、ぜひご賞味ください。