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そばでルチンを効率摂取!ルチンの特徴とおすすめの食べ方

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有喜屋 三代目店主

三嶋吉晴

有喜屋(うきや)三代目店主。有喜屋は1929年 京都先斗町に創業した本格手打ちそばと蕎麦料理を提供するそば屋です。 最年少で京都府優秀技能者表彰「京都府の現代の名工」を受彰。 手打そば職人としては全国で初となる「卓越技能章」を厚生労働大臣より受彰。 天皇陛下から授与される褒章である、「黄綬褒章」を拝受。

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そばは栄養バランスの良い食材であり、ビタミンや食物繊維をはじめさまざまな栄養が含まれています。その中でも特に注目すべきなのがルチンです。

そこでこの記事では、そばに含まれるルチンの特徴やルチンを効率よく摂取できるおすすめの食べ方を紹介していきます。

1.そばはルチンの宝庫

そばに含まれる栄養の中でも特に特筆すべき栄養素といえば、そば特有の機能性成分であるルチンです。まずはルチンとはどんな栄養素なのかの説明とあわせて、どれくらいのルチンがそばに含まれているのか見ていきましょう。

(1)ルチンとは

ルチンとはフラボノイド系のポリフェノールの一種です。フラボノールの「ケルセチン」と二糖類の「ルチノース」が結合したフラボノイド配糖体であり、高い抗酸化作用と抗糖化作用を持つ水溶性のビタミン様物質です。

ルチンはかつてはビタミンPとも言われていました。現在は健康を維持・改善するのを助ける機能性成分としてサプリなどにも使われています。

(2)ルチンが豊富なそば

そばは穀類の中では珍しくルチンを含む食材であり、実や花、葉のすべてにルチンが含まれています。一般的なそばにはルチンは100gあたり15㎎含まれており、韃靼そばには1800㎎も含まれています。

ルチンは他にもアスパラガスやトマト、かんきつ類の皮にも含まれていますが、毎日の食事で効率よくルチンを取り込むなら、炭水化物とエネルギーの供給源になる主食にそばを取り入れるのがおすすめです。

出典:日穀製粉株式会社 「韃靼そばとルチン」

2.研究で報告されているルチンの働き

ルチンの働きについて以下のような研究結果が報告されています。

  •  血管サポートに関する研究
  • 認知機能に関する基礎研究
  •  血糖値変動に関する報告
  •  抗酸化作用の可能性
  • 体組成に関する動物試験

(1) 血管サポートに関する研究

ルチンは in-vitro や動物試験で毛細血管の透過性に影響を与えたとの報告があります。ただし、人を対象とする大規模臨床試験は限られているため、日常の食事では「血管をサポートする栄養素の一つ」として参考にしてください。

出典:National library of Medicine「Hypolipidaemic effects of naringenin, rutin, nicotinic acid and their associations」

(2)認知機能に関する基礎研究

ルチンにはラットモデルでルチン摂取が認知機能指標の維持に寄与した報告があります。

具体的には、ルチンは糖とたんぱく質の結合を防ぎ、アルツハイマー病などの認知症のリスク因子とされる物質AGEsが作られるのを防ぐ働き(抗糖化作用)があるとされています。ポリフェノールが持つ抗酸化作用との両面からAGEsの生成を防いで認知症リスクを低減してくれる可能性があります。

ただし、ヒトで同様の効果が確認されたわけではないので注意が必要です。

出典:National library of Medicine「Rutin prevents cognitive impairments by ameliorating oxidative stress and neuroinflammation in rat model of sporadic dementia of Alzheimer type」

(3) 血糖値変動に関する報告

ルチンには血糖値の上昇を穏やかにする働きが期待されており、糖尿病、特にII型糖尿病に対して寄与した報告も近年確認されています。

また、AGEsが糖尿病による合併症を引き起こすリスクも高くすると知られていますが、ルチンはAGEsの生成や蓄積を防ぐとされており、糖尿病を原因とした他の病気の予防が期待されています。

出典:National library of Medicine「Rutin ameliorated lipid metabolism dysfunction of diabetic NAFLD via AMPK/SREBP1 pathway」

(4) 抗酸化作用の可能性

ルチンは強い抗酸化作用を持つポリフェノールの一種であり、体内の活性酸素を除去することで細胞の老化を防ぐとされています。

抗糖化作用とともに老化を進めるAGEsの生成・蓄積を防ぐことで、しみ・くすみ・たるみなどの肌のエイジングサインや抜け毛・細毛化といった髪の老化の予防が期待できます。

出典:National library of Medicine「Gender difference following high cholesterol diet induced renal injury and the protective role of rutin and ascorbic acid combination in Wistar albino rats」

(5)体組成に関する動物試験

ルチンには脂肪の合成を抑えて脂肪の分解を促進する酵素の活性を高めるとする研究報告や褐色脂肪の活性化を通じて肥満を改善するとする研究報告があります。実際、ラットを使った研究でルチンを投与したラットの内臓脂肪量が有意に減少したとの報告もあります。

また、膵臓での炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6など)の抑制効果や膵臓のインスリン分泌機能膵臓の機能を若返らせる効果があるとの報告も出ています。ルチンで膵臓のコンディションを整えることで、効率的な脂肪燃焼・体重管理に寄与するとされます。

出典:National library of Medicine「Rutin ameliorates obesity through brown fat activation」

3.ルチンの副作用

そばなどの食品から摂取する場合、余分な水溶性のルチンは体外に排出されるため、過剰摂取による害は少なく、副作用のリスクもあまりないとされています。

しかし、1日1000mg以上の大量摂取を長期間行った場合、報告例は限られていますが、胃腸障害やアレルギー反応が起きたり、体質やその日の体調によっては胃の不快感や顔面紅潮、皮疹などの症状が出ることも稀にあるようです。

そばを食べていて違和感を感じたらすぐに食べるのをやめてしばらく様子を見、改善されないようであれば医師に相談しましょう。

4.そばをおいしく食べつつ効率よくルチンを摂取する方法

ルチンを効率よくそばで摂取するには、次の3つのポイントをおさえて食べると良いでしょう。

  • そば粉の割合の多いそばを食べる
  • そば湯も飲む
  • ビタミンCと一緒に摂取する

(1)そば粉の割合の多いそばを食べる

ルチンをたっぷりとりこむためには、ルチンの含有量が多い十割そばなど、そば粉の割合が多いそばを選ぶようにしましょう。つなぎ(小麦粉や山芋)が入ったそばはその分ルチンの量も少なくなります。

十割そばについて詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
十割そばとは?読み方や魅力・二八そばとの違いを徹底解説!

(2)そば湯も飲む

そばを茹でたお湯(そば湯)にはそばから溶け出た栄養がたっぷり含まれています。ルチンは水溶性の栄養素であるため、そばを食べる時はそば湯も一緒に飲むようにしましょう。

そば湯はそのまま飲むだけでなく、そばつゆで割ったり、日本酒や焼酎で割ったりといろいろな楽しみ方ができます。お好みの飲み方でルチンをしっかり取り込みましょう。

そば湯について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください
そば湯を飲む理由とは?そば湯の飲み方・注意点やそば湯の歴史を解説

(3)ビタミンCと一緒に摂取する

もともとルチンはビタミンCの働きを助ける補助栄養素として注目された栄養素であり、ビタミンCとの相性も抜群です。ルチンとビタミンCを一緒に摂ることで抗酸化作用・抗糖化作用が高まるとされています。

そばと一緒にパプリカやブロッコリーなどのサラダ、小松菜のお浸しなどビタミンCが豊富な野菜を食べたり、食後のデザートにビタミンCが豊富なかんきつ類やいちじくなどのフルーツを食べると良いでしょう。

有喜屋のそばでおいしくルチンを摂取しよう

有喜屋では、北海道産や京都産など厳選された100%国内産のそば粉を使用し、職人が真心込めて手打ちしたそばをご用意しております。ルチンを含んだそばをよりおいしく食べたい方はぜひお越しください。またオンラインショップでもご自宅で手軽に食べられるそばも豊富に取り揃えています。

上質な素材と職人の技で作られた有喜屋の極上のそばを、京都ならではの滋味深く香り高い”おだし”とともにお店でもしくはご自宅でご堪能ください。